導入:企業型DCはお得な制度
「企業型DC」という制度をご存知でしょうか?勤め先の会社が導入していなければ、なかなか聞き慣れない言葉かもしれません。
企業型DCとは「企業型確定拠出年金」のことで、会社員の方が自分で年金を運用して老後資金を準備するための制度です。
会社が出してくれる掛け金を、運用商品で増やしていく仕組みで、いわゆる資産運用にあたります。
よく聞く「iDeCo(個人型確定拠出年金)」は、この企業型DCの“個人版”と考えると分かりやすいかも。違いは、iDeCoは掛け金や手数料を自分で負担する点です。
話を戻すと、もし勤め先の会社が企業型DCを導入しているなら、最大限に活用しない手はありません。非常にお得な福利厚生制度といえます。
企業DCとの出会い
当時の私は投資や運用の知識が全くなく、突然会社から「掛け金は出すから運用は自分でお願いします」と言われた印象で、不安しかありませんでした。(きちんと説明は受けましたが、当時は理解不能でした 笑)
内容も仕組みも分からないまま、安全だと思った「定期預金」を選び、5〜6年ほど放置していました。
そんな中、同僚との雑談をきっかけに投資に興味を持ち、つみたてNISAやiDeCoを勉強する過程で「まず企業型DCを見直そう」と考えたのが、私の投資人生のスタートラインでした。
企業型DCの仕組み
企業型DCの基本的な仕組みは以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
掛け金負担 | 会社(事業主)※会社によっては「マッチング拠出」(自分も追加で掛け金を出せる制度)あり |
運用の指示 | 従業員(自分) |
受取時期 | 原則60歳以降(企業規約により60〜75歳の範囲で選択可) |
受取方法 | 一時金 / 年金 / 併用 |
運用益の課税 | 運用中は非課税 |
受取時の課税 | 一時金:退職所得控除が適用、年金:公的年金等控除後に雑所得として課税 |
NISAやiDeCoとの最大の違いは「掛け金を自分で負担しなくてよい」点。
わたし自身、この“会社が出してくれるお金で投資できる”ことが投資を始める大きな後押しになりました。
「投資の大原則」を簡単に実現
投資の大原則は次の3つです。
- 長期:長い目線で運用する
- 積立:定期的に一定額を積み立てる
- 分散:投資対象を広げてリスクを抑える
以下のように、企業型DCはこの3原則を自然に実現できる制度になっています。
- 長期 → 60歳までは原則引き出せないため、自動的に長期投資になる
- 積立 → 会社が毎月決まった日に掛け金を拠出してくれる
- 分散 → 運用商品に投資信託が用意されており、少額から幅広く分散可能
つまり「投資の王道」を仕組みとして取り入れている投資のスタートに最適な制度と言えるのです。
掛け金の上限額
会社や役職によって拠出額は異なりますが、政令で定められている上限は以下の通りです。
- 年間最大 66万円(月額5.5万円)
- 確定給付企業年金(DB)と併用している場合は、月額5.5万円 − DB掛金相当額
※(DB)とは退職金制度の一種
掛け金は従業員が自由に設定できるわけではなく、会社が決めた金額を毎月積み立てる仕組みです。
運用商品の特徴
企業型DCで選べる運用商品は、会社が指定したラインナップから選びます。一般的には以下のような分類です。
- 元本確保型(定期預金など)
- 国内債券型(投資信託)
- 国内株式型(投資信託)
- 外国債券型(投資信託)
- 外国株式型(投資信託)
- バランス型(投資信託)
投資信託は、複数の銘柄をまとめて投資する「パック商品」のようなもので、自然に分散投資ができます。初心者にとっても選びやすい仕組みです。
投資信託の選び方
投資信託には大きく2つの運用スタイルがあります。
- インデックス型:市場平均に連動 → 大勝ちはしないが、大負けもしない
- アクティブ型:市場平均を上回ることを目指す → 成功すれば大勝ちだが、負けるリスクも高い
老後資金を目的とする企業型DCでは、安定的な運用ができる インデックス型 が基本的にはおすすめです。
さらに選ぶ際には、
- 投資期間(長いのか、短いのか)
- 預貯金とのバランス
- 自分のリスク許容度(損失に耐えられる度合い)
を考慮する必要があります。
リスク/リターンと分散の広さ
投資商品ごとにリスク/リターン、分散の広さは異なります。
- リスク/リターンの序列
商品分類 | リスク/リターン |
---|---|
元本確保型 | ×(ほぼなし) |
国内債券型 | △(低い) |
外国債券型 | △(やや低い) |
バランス型 | △(中間) |
国内株式型 | ○(やや高い) |
外国株式型 | ◎(高い) |
- 分散の広さの序列
商品分類 | 分散の広さ |
---|---|
元本確保型 | ×(なし) |
国内債券型 / 国内株式型 | △(国内のみ) |
外国債券型 / 外国株式型 | ○(国際分散あり) |
バランス型 | ◎(資産・地域ともに幅広い) |
長期投資が可能でリスク許容度が高い人ほど、外国株式やバランス型が合理的な選択になります。
まとめ:企業型DCは投資の第一歩に最適
わたし自身、つみたてNISAやiDeCoを勉強する過程で企業型DCを知り、投資に取り組むきっかけとなりました。
投資にはネガティブなイメージが先行しがちですが、実際には制度を理解し、仕組みを活用すれば安心して始められます。
投資の第一歩を踏み出すなら、掛け金を会社が出してくれる「企業型DC」ほど心強いものはありません。
まずは自分の会社に制度があるか確認し、運用商品を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか?

もちろん「投資は自己責任」です。結果を保証してくれる制度ではありませんので、その点はご注意ください。
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